DREAM

ep23 煙草

「腹ごしらえした事だし、一服したら仕上げるかぁ」

通信機器材、設定設置は終わりアトはパーツを置き場に配置すれば完了である。
ツナギに着替え車庫へ。

「まずは一服イップクっと」

カキィン!シュボ。

いつものツナギに着替えたナオが言う。

「レオって部屋では吸わないけど、外では結構煙草吸うでしょ」

若干、目をつらせながら問う。

「そ、そぉかなぁ」

愛車を見ながらの一服は良い。



フォーーーン、フォフォーーーン!

「今日も走ってるなぁ、二輪」

昼間、馴染みの峠でお菓子を食べながらギャラリーをする。
昼は二輪、夜は四輪のステージと暗黙の掟がある峠。

「レオさん、また二輪で来てくださいよぉ」

若くして二輪レースに出場しているTクン。
バイクと同じカラーリングのタバコをいつも吸っている。
二輪と四輪の乗り手同士は仲が悪い、とヨク聞くがこの峠では当てはまらない。

「そぉだなぁ、また機会があったらね」

人懐っこい性格で、いつも笑って話しかけてくれる。

いつも。


これで何回目かな、ここで手を合わせるのは。

雨の日だったらしい・・・。

いつも吸っていたタバコを供える。
同じタバコを吸ってTクンがどんな・・・。



シャッターの外へ出る、いい天気である。

「ナオォ、もう1本イイかなぁ」

ゆっくり吸い、ゆっくりはく。

青い空を見上げながら。

ep22 朝食

カラカラカラ・・・

ガレージから居間を覗き込む。

「ナオは、まだ起きてないかな」

朝食の用意でもするか、昨日は疲れたろうから。

「ユウ、ちと朝食食べてくるわぁ」

片手を挙げ家の中に入る。
ユウはレオの背中を見ながら手を振る。


得意の茹で玉子でサラダでも添えるか。

「何時頃に起きるんだ?ま、いいか」

電気ケトルに玉子2つ入れ、スイッチを押す。

「ナオは黒糖だったよなぁ、有ったか・・・な」

コーヒーの薫りが部屋中に広がる。


ガッタン!

「な、なんだぁ!」

音がして数十秒後、ナオが目を擦りながらキッチンに姿を表した。

「おぉはぁよぉー」

ピンクの熊柄パジャマ姿で、アライグマのヌイグルミを抱えている。

「いい薫りぃ、レオ朝食作ってるのぉ?」

そうとうお疲れの様で・・・

「そそ、もぉスグ出来るから顔でも洗ってて」

「そぉするぅー、ふぁぁぁ」

そぉ言いながら背中をかく。

「ナオ、パンツ見えてるぞぉ」

「はぁぁぁい」


モールで新調したパジャマ姿を見せたかったのであろう。
ナオなりの朝食を作ってくれるレオへのサービスである。

そぉ言えば、ナオのパジャマ姿は初見。
アニマルが好きなの・・・か。

「あぁ、すっきりしたぁ」
「朝食出来たぁ?」

パジャマ姿のままコッチに来るナオ。

「レオにコーヒー作らせると、砂糖何杯入れられるか分かんないもんねぇ」

うっ!

普通4杯では・・・

「レオォ、早くしないとTV始まっちゃうよぉ」

ナオお気に入りの番組があるらしい。


「いっただっきまぁす」

TVを見ながらパンを頬張るナオ。
ナオのパジャマ姿を見ながら朝食を食べるレオ。

久しぶりの1人ではない朝食。

ep21 特別

ボボボォー、ボボッ。

家の近くにある、お気に入りのコンビニ。
国道に隣接している為、駐車場が広く大型トラックがヨク停まっている。

「お疲れ様です」

駐車場にはバックで入れる。

「何にしようかなぁ、新しい特選デザートとか有るといいなぁ」

ユウは相変わらず、手のひらにメモを・・・。

こっちを向くなり片手を突き出し

「みなさん、おはようございます。今朝はコンビニに来ています」

・・・へ?

「お客さんにアンケートをしようと思います、あなたがこのコンビニを選ぶ理由は?」

ムムム、どこからそんな情報を・・・
え、えー

「買い物をするとポイントが貯まるのとぉ」
「キャンペーンでお気に入りキャラクターが結構あるからです・・・」

またもやメモを。

・・・あ、あのぉー続きはー・・・

メモ書きを邪魔しちゃ悪いからイクか・・・な

バムッ!

ドアを開け、足を一歩踏み出す。

この感覚は自分なりに特別な感触がある。
ステップから地面は、ほんの僅か90mm前後。
セヴンも車高を低くしてあるが、07は更に地面との近さを感じる。
身が引き締まる瞬間。

「さぁーて、何があるかなぁ」

朝食だから、バター入りクロワッサンでも。
コーヒーは有るから、あとはデザートか。

「んー、新商品みたいだけどあまり代わり映えしない・・・な」


買い物を済ませ店のドアを開ける。

おおお、いつの間に。
07の隣には2ドアの外車が。

「高いんだろうなぁ」

と、思わず店の出入り口に有る灰皿の横で煙草に火を付ける。

カキィン!、シュボ。

ユウが車の後ろにPガール風に立ち、微笑む。

「私のほうがステキでしょ?」

「あぁ」


「特別なんだよなぁ、やっぱり」

幾ら新型車と対峙し後塵を浴びていても、その特別は違う。

真の赤、佇まい。

異質であり、特別。

ep20 一服

「車を脇に停めるか」

キュルッ、ボボボボボボォー。

スタンドの壁際にノーズを入り口側にして停める。
若干の傾斜が有り、前が下がってカッコイイ。

「やっぱ、こぉーだろぉー」

U字クンが店のドアを開け、見に来た。

「いやぁー、良いですねぇ佇まいが」
「いつも置いてくれるとお客さん増えるかも」

やはりお客さん、減ってるの・・・か。

ユウが車の横でポーズをとる。

「U字クンには刺激が強いな」

「あんまり煙草吸わないでねぇ」

ユウなりに気を使ってくれてるのが嬉しい今日この頃。
軽く手を挙げ返事をする。


ガソリン代を払い自販機の前。

「やっぱり珈琲はコレだな」

ミルク入りの小さい缶珈琲。

「レオさん甘党だからなぁ、ボクはコレで」

「お、お茶?どぉーしたのぉ」

U字クンは若干俯きながら話す。

「最近、お腹が気になってねぇ」

ちょっと見、すらっとした体型だけど。

「ひょっとして、アレだな」

「いやいや、勘弁してくださいよぉー」

あはは。


ブブブブブブゥー。

「お、お客さんだ」

軽く身を翻し、ドアを開け対応する。

「さすがU字クン、やるなぁー」

ユウが両腕を振っている。

「そろそろ帰るか」


結局煙草に火を点けず、スタンドのドアを開ける。

「U字クーン、そろそろ行くわぁー」

忙しそうに車のフロント・ガラスを拭いている。

「もっとゆっくりしていけば良いのにぃー」
「又寄ってくださぁーい」

真面目な人である。

「じゃぁ、又ぁー」


キュルッ、ボボボボボボォー。

「早朝で車は少ないが、出る時は確認っと」

窓越しにU字クンが手を振ってくれているのが見える。
オイラも手を振る、何故かユウも・・・。


「朝ごはんは何にするの?」

ユウが聞いてきた。

「そぉーだなぁー、帰り掛けに買って行くか」

コンビニでパンとデザートを。

ep19 給油

バイパスを降り、街中に入る。

スタンドの近くまで来て開いているか確認。

「ロープは張って無いな、U字クン来てるぞ」

ボボボボボォー。

赤いトラッキンを洗車中。
音を聞くなり、いつもの笑顔で片腕を挙げながら出迎える。

「おはよーございますぅ、レオさん」
「どぉーしたの?凄い車ですねぇ」

U字クンには初お披露目だったな。

「あはは、オイラの車なんだぁ」
「ハイオク満タンねぇ」

オイラがロータリー乗りでアルからか、大のロータリーファンである。

「いやー、傷付けられないから給油も怖いなぁ」

背も高く童顔でジャニーズ系なU字クンは気も優しい人である。

「えー!60L位入りますよぉ、見た目もそぉだけどタンクも・・・」

「ま、ロータリーだからねぇ」

ユウは車の横に立ってU字クンを触っている。

「あああ、一体ナニをぉーーー」

U字クンには見えないところが・・・。

「フフフッ、U字クンって背が高ぁーい」

グラサンは外した方が良いのかも・・・。

「レオさん、いつもの様に洗車してく?」

いつものオイラは給油時、洗車用具を車に積んでくる。
さすが店長、太っ腹。

「今日は洗車イイよぉ、いつもありがとね」

「しかしコックピットも、カッコイイー」
「ちょっと座っても良いですか?」

すかさずユウがナビシートに座る。

「可愛いなぁ、ユウは」

ステアリングを握って、シフトを掴む。
各ペダルの位置を確認しながら運転デモを繰り返すU字クン。

「いやー、シート高も低いしステアリングの角度も良いですねぇ」
「ドア開けると、すぐ路面が有るのがビックリですよぉ」

全高が低くLamborghiniと同じく1070mmに設定しているのである。

「なんなら近くを廻ってくる?」

「いえいえ、ぶつけたら大変だし店も空けられないから」

バスッ!

ドアを閉め、店内へ歩き出すU字クン。

「中で珈琲でも、どぉですか?」

そー言えばU字クンも煙草吸うんだったな。

「そぉーだねぇー、一服イップクっと」

ユウがドライビング・シートで運転する真似をしている。

ep18 早朝

カチャ、カチャ。

「んー、PC繋げるのも結構時間かかるなぁ」

周りが明るくなる頃から作業をするレオ。
R-EO 07 のデータを蓄積、送受信するPCの設定に手を焼く。

「これ見るとユウの○○が見れるかな♪」

全て暗号化されてる為、残念ながら見る事は出来ない。
07にはSSDが4基積まれており、2基がバックアップディスクとなっている。
07用とユウ用である。
片方を取り外しても、もう片方で作動する。

「えーナニナニ、コレをこうして・・・」

カチャ、カチャ。

朝まだ早い時間、静かである。

「ふぅ、ちょっと走ってくるかな」
「一応、書き置きしておくか」


カラカラカラ・・・

キュルッ、ボボボボボボォー。

「おはよう、レオ」

07で早朝走り。

ユウは、ピンクのフレンチにブルーのビニスカでスニーカー姿。

「おはよう、ユウ」

ウインドを下げ外気を入れる、雲一つない良い天気。

「気持ち良いねぇ」

片手で髪をかきあげるユウ。

「ナッ、ナヌ!髪なびいてるじゃん」

なんと芸が細かい、さすがSo社とSE社。

「レオの髪もなびいてるよ」

最近、床屋に行っていないレオである。
静かな街中を出て、バイパスを昇る。

「ちと出すかな」

ボォーーー、ボォーーーーーー。

「くぅーっ、飛んでるみたいぃー」

周りの景色が後方に飛んでいく。

「あっ、レオォ燃料半分だよぉ」

圧倒するパワーとの引き換え。

「あちゃぁ、帰りに馴染みのスタンド寄るかぁ」

バイパスを降りてスグの所に馴染みのスタンドが有る。
工場指定のスタンドに入っているのを見て安心していたレオ。

「もぉU字クン居るだろぉなぁ、洗車してるかも」

いつものパーキングでUターンし、下りはじめる。

「よぉーし、下りもイクぞぉー」

「おぉーっ♪」

ノリが良くなったユウであった。

ep17 教会

「鍵借りるから、スーパーで買い物してくるねぇ」

歩いて10分位の所に24時まで空いている店がある。
ナオには前にも、よくご馳走になった。

今夜は手作りカレーだな。(予想)
あっちに居た時食べたけど、んまかったなぁ。
 
 
 

「いや~食った食った、腹いっぱい」

カレーはいくらでも食べられるな。
横になろうとヌイグルミの足を引っ張り枕替わりに。

「ロバ可哀想だよぉ、痩せ細ってるじゃん」

大きなロバのヌイグルミ。
色は薄い灰色で、ほころびもチラホラ。
レオが、いつも枕に使ってるせいかお腹が潰れている。

「いいんだよねー、このロバ」
「小さい時に買ってもらったんだぁ」
 
 
 

「パッカパッカ、お馬さん」

「パッカパッカ・・・」

音も無い空間、窓からは陽の光が差し込む。
長椅子が両側に並んでいる間で、一人遊ぶ。

自分の世界に浸る。

両親は共働き、親の姉弟が牧師と言う事もありカトリック系保育園に。
入園年齢前でみんなと遊ぶ事もできず、一人教会で。

「ブゥーン、ぶぅーんカッチョいいー」

車のおもちゃを手で持ち床に走らせる

三つ子の魂、百まで・・・

一人で居る事は苦では無い。
 
 
 
「キイロイトリのヌイグルミ、イイの探そっと」

ep16 心臓

「今CGで車創ってるんだよねぇ」

Ma社ディーラーでコーヒーを戴きながら担当営業Nさんと会話中。

「レオさんのHP見ましたけど良いですねぇ、TOPのCGとか」

レオは自身のHPを載せていたが、肝心の夢の車はまだ載せていない。

「どどぉも、ありがとうございますぅ」

紙に書くのは出来るのだが、3DCGソフトとの格闘中であった。

「デザイン的にFC3Sをベースにしてるんだけど、
最近の外国スーパースポーツとの対峙だとなぁ」

車格、タイヤサイズなど出力や安全性の為であろう。

「色々な会社と一緒に自分だけの車を創りたいんだよねぇ、まさにmade in japanを」

できればMa社の新車を買ってもらいたいであろう営業さんに話している。

すみません。

「メーカーに同級で、ドアノブのデザインしているのがいるんですよぉ」

デザインするとは大変だな、と思った。

「車の心臓はロータリーで決まりですよぉ、16Xの2基で32Xとか」

ロータリーエンジンは普通のレシプロエンジンと構造及び自動車税の違いが有る。
型式の数字が排気量を示している、因みにFC3Sは2ローターエンジンの13Bであり約1,300ccである。

16Xとなると約1,600cc。
07は16Xを2基、約3,200ccでロータリー係数1.5倍になり4,800ccクラスとなる。

「ゲームの車にロータリー積んだ車有って、そればかり乗ってるよぉ」

さすがゲーム好きのN氏であった。

「やっぱりカーゲーはNa社ですよねぇ」


そう、07には32Xが積まれている。



グラスを付けガレージに車を入れようとスペースへ。

「まさに直系、ここにも3姉妹だな」

カキィン!、シュボ。

一服を点ける、自分の車に見惚れるのも当然か。
ユウが車の助手席で座って、手を振っている。

「おおお、中入れるぞぉ」

ボボボボボボォー、ボォッ。

「じゃあ、ユウおやすみ」

軽く手を振り、07から離れる。鍵を持って。

「自分の荷物降ろしたかぁ?」

ナオに声を掛ける。

「こっちが寝室だから、ここでいいだろ?」

部屋は12帖ありフローリングになっている。
ベッドが有り、東側に出窓と言う間取りである。

「ぬいぐるみ多いねぇ、可愛いぃ」

レオはキャラクター好きでもある。

「かっかっか、好きに使ってぇ」
「夕飯ハヤシライスだけどいい?」

いつものレトルトである。

「あぁ、あたしが作るからレオ先にお風呂入っててぇ」

ナオは料理が得意である、レオのレトルト生活をよく知っていた。

ep15 甘味

「いやぁ、食った食った」

何回も来て食べてはいるが、凄い量である。

「安いし量もあって、しかも美味しかったぁ」

店の外で、両腕を広げ伸びをするナオ。
良い天気である、全身に陽を浴びると気持ちがいい。

「さぁーて、帰って荷物降ろさないとなぁ」

ババババババァー・・・

疲れと満腹によるものか、この騒音振動でも目を瞑るナオ。

「お疲れさん、ナオ」



ガレージに着き、外のスペースに止める。

「壮観だな、4台も停めると」

車屋と思われてもしかたないであろう。
脇のドアから入り、シャッターを開ける。

カラカラカラ・・・

「降ろすよぉ」

左側のウイングが開く。

ガチャッ、ガチャ。ウィーーーーーン。

「レオ、そっちぃ」

「はいよぉっと」

グワッ、グワッ。

下のパネルを下ろす。

「結構満載だなぁ、 これぇ」

上手く積まないと荷崩れが起きる。工場からの運転技術にもよるが。

「さっさとやらないと日ぃ暮れちゃうよぉ」

おおお、一応車のと設備ごとに分けられてるな。



「ふぅ、なんとか運ぶのは終わったか」

すっかり陽も落ちていた。

スタスタスタ・・・


レオがガレージから外へ走って行った。

「ナオはコレだめなんだよなぁ」

自販機で飲み物を買う。
この自販機には500mlのジュースが100円で売っている。
ナオはダイエット用の甘さが気に入らないようである。

「やっぱ、炭酸でしょ」

ガラガラ、ガポン。
ガラガラ、ガポン。


「おぉーい、ナオぉ。ほれっ」

ガレージ内の椅子に座ってメールを打っているナオにジュースをほおる。

「わぁっ、わぁー」

突然ジュースを投げられて慌てふためくナオであった。

「また誰かに、むふふメールでも送ってたなぁ」

ジュースをなんとかキャッチし、顔を赤くする。

「そんな人居る訳無いでしょぉ、会社に電話とメールしてたのぉ」

すっかり泊まろうと計画するナオであった。

「結構時間かかったしなぁ、ナオ泊まってくか?」

部屋は3つあるし、寝室で寝てもらうかな。

「うん、そぉするぅ」

みんなをガレージに入れるか。今日はこのくらいでっと。

ep14 満載

ガラガラガラ・・・

「オーライ、オーライ」・・・ピィーッ ピィーッ バックします♪
「オーライ、オーライ」・・・ピィーッ ピィーッ バックします♪

「オーライ、ストップーッ!」

 キィーッ、ガラガラガラ・・・

プッシュー。

「ガレージに入るには入るけど、やっぱギリギリだなぁ」

ガレージには2つの柱があり、道路から向かって左と中央に大きなパネル式シャッターが有る。
トランスポーターは左側の開口部にスッポリ格納された。

「良いカラーリングのパネルじゃん」

レオお気に入りのタバコカラーである。
上下に眩しいオレンジのラインが入り、真ん中にはロゴが貼られている。
自動車レースでさえ、スポンサー名が消されている所がほとんどである。

「かっこいいぃ、しゃしん写真っと」

ガポッ、バターン。

運転席から勢い無く?降りてくる、黒を基調としたツナギに身を纏ったナオ。

新しいツナギが真っ黒では無く、肩から入った紅白ラインが気に入らないらしく
ちょっと気合の入ったツナギを着ている。
通常袖口にボタンは無いのだが、敢えて赤いボタンを付けるこだわりようだ。
当然、手袋も赤である。

「おつかれぇ、渋滞してただろぉ」

レオは何回も往復してるだけに、道路状況はよく知っている。

「おぉつかれえぇ、お腹減ったぁ早く食べ行こうよぉ」

 睡眠不足に加えての車載と長距離運転である。

「何食べる?ハンバーグ?牛丼?」

ちょっと重いかなぁ。

「 レオお気に入りのラーメン屋で冷麺食べるぅ!」

工場に居た時、そのラーメン屋の話しをしていたのである。

「よぉーし、気合入れろよぉナオ」

ユウが聞いてても、なんだかさっぱり判らない。ラーメン屋での気合。

「じゃぁユウ、行ってくるわぁ」

軽く手を上げ、グラスを置いた。 シャッターを閉め、FIATに乗り込む2人。

ババババババァー、ババババババァー。

「結構、音が大きいねぇこの車ぁ」

後ろにエンジンを搭載しているので音が漏れやすい。
FIAT500Fチンクのシリーズは特殊な仕様以外は屋根が開くのである。
これは音を逃がす為と言われている。

「あはは、スピード出てないけどスピード感はあるんだぁ」

実際速度は出ていない。
しかし、車体の低さや振動などで早く走ってる感じがする。
これは今の自動車では味わえない爽快感。
映画でのアノ走りとソックリで楽しい。

「ヒヤッホォー!」



スーパーマーケットとは仕切られているが、同じ建物の道路側にラーメン屋がある。
昼はラーメン屋、夜は居酒屋となる。

「へい、いらっしゃい」

店内はあまりお客さんが居ない、主人は無愛想である。

「冷麺大盛りで2つねぇ」

と言うと主人がこっちに来るなり、2人を奥へ案内した。
そこは夜、居酒屋になる所のテーブルであった。

「来るぞ、来るぞぉ」

「ドキドキ、ドキドキ」

「へい、おまち」

・・・指入り。

それを見るなりナオが。

「こ、これ1人前なのぉ?」

と大きな声を出す。

主人の肩が震えていた。

大きな皿に山盛りである。これで650円は安い。
ってか、何回も来てるが食べきれるかいつもドキドキ物である。

「気合を入れろぉナオ」

何の勝負か分からないが・・・。

「い、いっただっきまぁーす」

ep13 遠方

レオのガレージに運び込まれる物は、主に消耗品と通信機材。
外装など交換できるパーツも1台分用意される。
タイヤ交換やオイル類などの交換はレオ1人で出来る。
通信機材と言っても、PC等などの設置設定などである。
中二階が主な仕事場になり、部屋の前にも色々置けるスペースが有る。
07から直接工場に通信したいのだが、不安要素を取り除くと言う事。
公道走行データやユウの記憶情報は、一旦07搭載のSSDに記憶される。
そのデータを搬入されるPCの専用ソフトなどで解析保存される。
データは専用回線を通じて工場に送られるという仕組み。

日本では車検制度がある為、3年で01と交代になる。
しかし走行データでの大きな変更、
及びなんらかの不具合等が生じた場合は交代するようになる。
Sシステムはと言えば、その車と起動者のみ対応出来る。
従って各車の個性が生じる事となる。
レオもテストカーにSシステムを導入する考えであろう、3姉妹と言うからには。

「もしもしぃ、レオ?」

ナオからの電話である。近くまで来たのであろう。

「おおお、今どこら辺?高速降りた?」

外野が騒がしく無いから、車から降りてるな。

「今ねぇ、道の駅ぃ」
「お昼はどぉするぅ?レオのとこに着いてからにするぅ?」

ガレージの近くにファミレスとか牛丼屋もある。
07で行っても・・・。

あ、これで行くかな。

3台並んでるから、このままにしておきたいし。
帰ってきても外に置けるから。

「そぉだなぁ、一緒にコッチで食べるか」

視線の先には、小さくて黄色い車。

「ユウ、この車は判るかな?」

レオはユウの全てを知ってはいない。

「レオのデータあるよ、黄色い車わぁ」
「FIAT500Fチンク'67モデルぅ、でしょ」

さすがユウである、データの宝庫。

映画カリオストロの城でルパンの愛車として登場。
映画のようにスーパーチャージャーは搭載されていない。
年代は違うであろうが、同じ車種である。
ルパンの愛車はベージュなのだが、レオの愛車は黄色である。

「そそ、ルパンの映画見てこの車で旅したいってね」

車の大きさは現在の軽自動車より小さい。
一応4人乗りで、車体の後ろにエンジンがある。
排気量は約500ccで軽規格なのだが、生産当時の規格が採用される。
小型車扱いである、30馬力も無いのだが。

セルレバーを引き

ババババババァー。

キュキュキュッ。

ガレージ内で旋回する。

「イタリア生まれの可愛いお姉さんね」

外国にはたくさんの自動車メーカーやカロッツェリアがある。

「イタリアやドイツに旅行したいなぁ」

ep12 高速

「空いててもこれだぁ、はぁ」

何年も大型トレーラーを運転するナオだが、運転者のマナーに呆れる。

「危ないだろぉ、自慢げにギリギリで割り込むなって」

たいして台数も走ってないのだが、
トレーラーの右角に接触しそうな勢いで割り込まれる。
仕事上での運転は、より危ない。

高速道路は時間が経つと、スピード感覚が麻痺しやすい。
トンネルに入ると通常では気づかず速度を落としてしまう。
内部の灯火間隔が出入り口と中間部では違うのもそうである。
それとトンネル中央部が高く設定されてるのもあるであろう。

「なんで追い越そうとすると、張り合って横並びになるかなぁ」

色々な人が居るであろうが、高速道路でも一般道路でも
車に乗る以上は人の命を預かっているのである。


「毛叩きって、結構良いんだよなぁ」

洗車でも良いのだが、車にとって水は大敵と言える。
週末はいつも洗車、と言うのは避けたほうが良いであろう。
覚悟があれば良いのだが。

レオは1方向に向け毛叩きで軽く叩きながら埃を落とす。
その手早さは、さすが塗装屋あがり。
あっと言う間に2台拭き終わりである。

「ピッカピカだね、お姉さん達」

ユウの笑顔は気を楽にさせてくれる。

「あ、私にもしてぇ私にもぉ」

映像では無く車を拭くのだが。
昨日納車されたばかりで、工場でも職人さんが磨いてくれている。

「あとはナオを待つばかり、一服一服っと」

「えぇ、パタパタしてぇパタパタァ」

やらないと後が怖い。
そう言えば昨日のカレーが・・・。バケツも要るな。

「はいはい、ただいまぁ・・・」



「田舎の山に来るとなんで対面なのぉ」

片側2車線が1車線に変わる。トンネル工事が進まないのか、予算が無いのか。
渋滞で走行車線に居るナオ。
追い越し車線が無くなるまでは、あと100mほどだが。
どんどん追い越し車線から車が追い越していく。

「先で割り込むから、こっちが動かないんでしょぉ」

引越しを考えたほうが良いであろうか・・・。

「お土産食べちゃうぞぉ」

やはり食べるほうにいくのか。

「はぁ、今日中に帰れるかなぁ」

レオの家に電動フォークリフトは無いので、全て手作業になる。

「遅くなるようだったら泊まっちゃおっと、明日からお休みだし」

長距離運転で着替えや洗面用具の積みは普通である。

「モールで買ったの持ってきちゃったぁ、フフフ」

ep11 対極

「やっぱり買える車がいいな」

FD3Sが生産終了と言う声も聞こえる時期である。
青みがかった赤い車。

「買います、この赤で」

そう、FC3SサバンナRX-7である。

直線と曲線の融合したボディーライン。
雑誌でGReddyⅠを見たのが事の始まり。
Ma社のディーラーにE氏が居たのが決め手となった。
馴染みの峠で、4WDの名手と謳われた人である。

「レオ、掘り出し物が出てきたからどぉ?」

と。

同棲中のE氏宅を訪れては、ロータリー談義に花が咲く。
E氏の彼女は、あのFF使いと言われる存在であるから凄いカップルである。

「いつも遅くまですみません」

とは言っていたが、色々あったであろう。

そうと決まれば板金塗装で埋め込みライトに。
と言う事で塗装屋に就職したのである。

それからは車に没頭する。
自分だけの車に、と。

そしてある日、E氏から電話で呼び出される。

「3ローターのCOSMO、どぉ?」

試乗した時の衝撃。

・・・ロケット。

約1.8トンもの車重を軽々と浮かせて飛ぶ。

「な、なんじゃこりゃぁ!」

虜である。

「買います」

即決であった。
この心臓が、この・・・。




「ユウ、お姉さん達も外で日向ぼっこさせるか」

積まれて来る荷物は相当多いだろうから。

「うん、見たい見たいぃ」

キュルル、ボボボボボボォー。

JCESE、ユーノスコスモ。
世界で唯一、3ローターエンジンを搭載する市販車。

「静かだよなー、やっぱり」

ロングクルージングにも最適である。
4km/Lの燃費と引き換えのパワー。

ボボボボボボォ、ボォ。

スペースに2台、斜めに停車させる。
見る方向や光の具合で色が変化するコバルトグレーのコスモと、
青みがかった燃えるような赤ブレイズレッドのRX-7。

「本当の姉妹だね、素敵」

2つの鼓動と3つの鼓動。

「ユウも直系の妹だな、並ばないと」

この3台が並ぶ素晴らしさ、創ってよかった。本当に。

対極とも思えるRX-7とCOSMO。
その魂は同じ。

ep10 極秘

Project R-EO。

国内二十数社、数百名と協力し、世界で1台のmade in japanを創る。
その開発総責任者レオ。
このプロジェクトは極秘である。
が、知ったところで取り上げる所も無いであろう。

工場の敷地内はA区とB区に分けられている。
当時オイラもA区に住んでいた。協力会社の編成からテストカー初走行まで。
自宅から通うには時間と労力が・・・。
B区には自販機すら無く、買い物は全てA区及び敷地外になる。
工場を出て30分歩くと街に出られる。
A、B区共に業者の車ですら進入規制対象である。
敷地入り口には交代の守衛さん。看板は無い。
B区は設計からテストドライブまで行う場所である。
現在は、最初に創られたテストカーと2台目の車がB区にある。

テストカーは、R-EO 00
ボディーはカーボン素材丸出しで強烈なインパクト。
テストコースを週一で走り、試作パーツはその場で交換される。
これから公道走行データが送られる為、忙しくなる事必死。
K氏の腕の見せ所である。

2台目は、R-EO 01
ボディーは塗装されており、R-EO 07とほぼ同じ仕様になっている。
今後テストカーのデータやパーツを使用し、07と交代を待つ。
Sシステムは導入されているが、起動はまだされていない。

3台目が、R-EO 07
現在レオ宅に在籍。Sシステムがレオにより起動された。
名称ユウ
何故3人娘の末娘でユウなのかは不明である。

ナオとは、このプロジェクトを通じて知り合った。

「おはよう、今日も早いねぇ」

この挨拶がきっかけで、色々な話をするようになる。
共通点はショッピングモールと甘いモノ。
朝早くA区の食堂に行くとヨク顔を合わせていた。
賄いさんが食堂を仕切っている。ご飯は何杯でもお替りできるのがうれしい。

現在でも社内でオイラを開発総責任者だと知っている人は少ないであろう。
でないと守衛さんとゲームセンターでのコイン争奪話とか、面白い話が出来ない。

会社に行くというより仲間に会いにいくような。

公道走行最終段階で1つ問題が浮上する。

納車及びレオ宅への行き来である。

納車は顔を合わさなくても可能であるが。
パーツ搬送等自宅への行き来には、どぉしても顔を合わさなければならない。
ナオと今後どぉなるか分からないが断腸の思いで、オイラの事を話したと言う訳である。

「あっ!そっ」
「それでさぁ、モールの・・・」

流された、それはそれで良しとしないと。
実際どういう仕事なのか知る人も少ないのか、社内では時間がゆっくり流れている。
緊張感は感じられない、表向きは。

トランスポーターはJ社の宣伝トレーラーに変わっている。

パネル変更は自在で、実際J社にも協力してもらっている。


「お土産何が良いかなぁ、赤福無いなぁ」

今日K氏は同乗しておらず、一人での往復運転である。
高速道路のSA、小休憩で店内を物色中のナオであった。

ep09 周囲

シャーーー、シャーーー。

キュッ。

シャワーは朝、風呂は夜に限る。
やはりリクライニングシートは違うな、体が痛くない。
フルバケットシートだと、翌日体中が痛くて痛くて。

「ユウの予報どうり、良い天気だな」

あと数時間で、ナオがトランポで到着する予定である。
大事な物を持って。

「ユウ、もうすぐトランポ来るから場所空けるか」

レオのガレージは、奥行きがトランスポーターを縦に収めるくらいの大きさである。
丁度、交差点の北西に位置している為、東側は住宅用玄関になっている。
ガレージ入り口は南向きになる。
どちら側共、歩道側に花壇が細長くあり家側は車1台を縦に置けるスペースがある。
友人が来た時の駐車スペースにもなる。
このスペースは、下が白いコンクリートで出来ていて若干傾斜がある。

良いお天気に白い路面の上に磨きたての車を置くと、どぉなるか。
みなさん、お試しを。

ボボボボボボォー。

07を外のスペースにバックで入れ、ノーズを道路側にし車体を斜めにして止めた。
レオが、しゃがみ込んで一服点ける。

「かっちょエエぇ!」

スマホを出し、記念に写メを。

カシャッ!

「あぁ私も撮って撮ってぇ♪」

おおお、グラスとスマホを繋いで。
一緒に撮るにはグラスを置いてっと。

グラスとスマホを繋げると、ソフトが起動しグラスと連動する仕組み。
グラスに映ってる物が撮れるというのである。
グラス連動撮影で撮った写真や動画は、即R-EOプロジェクト・データベースに保存される。
そして認識番号確認後、端末に返送される。暗号入りで。

「いくぞぉ、はいチーズ」

カシャッ!

おおお、良く撮れてる。

「記念、記念♪壁紙にしよっと」

ユウがコンソール内のディスプレィを壁紙に・・・。

ま、いいか。

今朝のユウはTシャツに今流行りのホットパンツ&スニーカー。
なかなかのセンス。・・・誰の。

ボボボボボボォ、ボボボォー。

「おっはー、レオ。出勤前のタバコおくれぇー」

園児時代からの友、AKAONI氏である。

車をスペースに置き、一服点ける。

「おはよぉ、オイラと同じechoだったよなぁ」

最近は色々厳しいらしく。

「サンキュゥ、ってレオッその車は!」

くっくっく、気づいたか。さすが旧友。

「が、聞いてる暇無し。又寄るわぁ」

ピィッピィー♪ボボボォー。

「最近彼女出来たらしいしなぁAKAONI」

ファッファァーン♪

どどど、どぉーしたんだ。07のか。

「今の人がAKAONIさん・・・と」

手のひらにメモっている。
そっそぉ言えば他の人を見るのは初めてなのか、ユウは。
しかし、ユウの車体周辺認識力はスゴイ・・・な。
ホーンも鳴らせるとは・・・

 
 

ガッシャン!

バーが上がる。
インターチェンジに入り速度を落とす、グルグルと旋回。
光の帯が車内をクルクル回る。

「まぶしい朝っ!」

早朝からトランスポーターに荷物を積み込む作業と長距離運転。

「あと4時間かな、逢えるまで」

昨日車を納車して工場で仮眠、用意してもらった物を積み込みレオのガレージへ。

「搬入は何時までかかるかなぁ♪」

カーステからはアルバム1984が。

ep08 初夜

カラカラカラ・・・。

シャッターを開け、車の前に椅子を置く。
満天の星空、とは言いがたく海抜1m付近では周りが明るい。

「ちょっとは星見えるから」

椅子の横に胡坐をかく。

カキィン!、シュボ。

星空と愛車を見ながらのタバコは旨い。

「レオ、タバコ吸うんだねぇ」

そう言えば今日はまだ、吸ってなかったか。

「あぁ、二十歳過ぎまでは吸ってなかったけどね」

峠に行き始めた頃は、お菓子やジュース持参であった。
ギャラリーしながらボリボリ、ゴクゴク。

あの刻までは。

もう一服したら寝るかな。あ、そうだ。ちょっと聞いてみよう。

「ユウ、家の儀式で車を買ったらその夜は車の中で寝るんだよ」

くっくっく。どんな反応を。

「やったー、一緒に寝よ寝よ♪」

ヌ。

そうなのか。
ちょっぴり残念なリアクション。

「えぇ、恥ずかしい、どぉしよぅ」

とか

「○○○しないでね」とかは・・・。

さすがに、そこまでのリアクションは入ってないか。
そう言えばユウは何歳設定なんだ?それに着替えとかどぉしてるんだ?
分からない事だらけだ・・・。取説を読まなければ。

ガサゴソ、ガサゴソ。

カーボンケースを開け、取り扱い説明書を探すレオ。

「どぉしたの?」

おおお。

「ユウの取説とかは・・・」

ムクッと立ち上がり、オイラを見下ろしながら自慢げに。

「私が07の取り扱い説明書でぇーす!」

とピースサインまで。
・・・ムムム、言い切った感がアルな。・・・見えそうだが。
07はともかくユウの、まぁいいか。

「何を教えて欲しいのかなぁ?ほれほれ」

うーむ、まるで○○教師だな。そう言えばこのグラス。

「このグラスは充電式?」

電池無くなったらユウを見れないな。

「うん、満充電で48時間持つよぉ」
「コンソールボックスに、予備のが充電されてるから」

ほぉ。それとぉ・・・。


シャッターを閉め、家中の電気を消す。
車の充電用100Vコンセントを、延長コードでフロントバンパー奥に差し込む。
ユウはアクセサリーON時及びイグニッションON時に表示される。
これでバッテリー上がりはしない。
助手席のシートを倒す。運転席はフルバケットシートの為、倒せず。

「オイラはこっちで良いよ、ユウは助手席で」

レース観戦前夜や遠乗りの時なども、何故か運転席フルバケットシートで寝ている。
助手席は空いているのだが。運転は自分だけと言う表れなのか。

「レオ、こっちで寝よぅよぉ。横になれたほうが良いよぉ」

若干、ほっぺを膨らますユウである。表情豊かだなぁ。

「早く、こっちこっちぃ」

しょうがない、そこまで言われると。

バムッ!

ドアを開け

「どぞどぞ、ご一緒に♪」・・・。

相手がグラスに映る映像の為、特に感触もないが。
助手席から見る機会もあまり無いな。
シートに寝転がり頭の後ろで手を組み、ユウの顔を。

「レオ、お疲れ様でした・・・」

聞き終わらぬうちに瞼が。

「あぁ」

今日は色々あったな。
ユウが体を重ねる。

「おやすみ」

ep07 住人

家付きガレージ、片手間にタバコ屋をやっている。
自分で吸っているし、いつでも休める。自販機も2台ある。
あまり儲かってはいないが、儲からないか。
ガレージ内はエアリフトやタイヤチェンジャー、工具も揃っている。
エンジンのオーバーホールくらいは自分で出来る。

「バックで入れるか」

ボボボボボボォー。ボッ!

「そういえばユウはどうなるんだ?」

まさか部屋まで来るとか・・・むふふ

「レオがキーを持って車から離れると消えるんだぁー」

俯きながら話し続ける。寂しいのか。オイラも寂しいが。

「私は07に触れる所までしか動けないから」

そうなのか。家でならキーは車に置いておくか。
それならグラスかけてればいつでも見れるし。
いや、それも酷か。さすがに休まんとアレだろうし。

「そーだ、夕飯まだなんだ」
「ガレージで食べるかな、椅子持ってくるから」

07に寄り掛かれるだろう。ちょっと話でもしたいしなー。
夕飯と言ってもレトルトカレーだけど・・・。

「ほれ、この椅子ならいいだろー」

映像なのだが、立っているより座ってるほうが同じ目線だし。
かと言って車の中ではなんだし。

「ありがとう、これならずーっと居られるね」

ガレージで一人なのはいつもの事だが、やはり人が増えると良いかも。

スタスタスタ・・・。

レオはガレージから家の中に入って行った。
ユウはガレージ内をキョロキョロと見回す。
工具やタイヤが整然と並んでいる。中2階がガレージの上空間1/3を占めている。
居間であろうかテレビの見える部屋とガレージの間がガラス張り。
ガレージは広くバイク2台と小さくて黄色い車、奥にグレーの車と赤い車。
07が居てもまだ余裕がある。

「みんなピカピカ、嬉しいんだね」

今にも動き出しそうな雰囲気である。

「みーんな私のお姉さん、みなさんよろしくおねがいします」

深々と頭を下げ挨拶をする。Sシステムは無いのだが。

出ー来た出来た、いつものカレーっと。

「ユウ、なんか言ったかー?」

ユウが丁度挨拶をしている所であった。
み、見えそぉーーー。

「あー、早いねーもー出来たの?」

こちらを振り返り、いつにも増してのニコニコ顔である。

「いっただっきまーす」

何故かユウにガン見されている。

じぃーーー。

「これだけ?お野菜とかスープは無いのぉ?」

うっ!痛い所を突いてくるな。何所からそんな情報を。

「いやいや、おなか空いててすぐ食べたかったから」
「かっかっか」

ユウはご飯とか食べないよなぁ。バッテリーか必要なのは。

「レオの家は同居人が多いねぇ」

プゥーーーッ!

カレーが飛び散る。

思いっきりユウの顔にかかった、と言えるが映像なので車に・・・。

「居ない居ないオイラだけだよぉ」

まさかK氏のデマ情報が入っているのか。

「二輪と四輪のお姉様方が。」

おおお、そっちか。びっくりさせるぜー。

「そそ、みんな年代物だけどね」


好きな車やバイク、その他にも。
これがCOZYさんの言う拘りと言うものなのかも。


好きな仲間に囲まれる幸せ。




ep06 風景

このバイパスが出来てから毎日のように走っている。
車をいじっては最高速テストをしたり、代車でもやったな。
元旦には、駐車場の横にあるお宮さんで初詣とか。
最近では道の駅も出来て通る車も増加している。
夏になれば海水浴客の帰りで毎日のように渋滞する。

「この駐車場は、レオお気に入りの場所?」

ユウがニヤけながらオイラの顔を覗き込む。

「そーだなー、よくココで一服したりチョッと足を延ばせば県境もあるし」

ニコニコ顔で手のひらに指でメモっている。

「チェック、チェック」
「それからそれからー?他にはー?」

小さい頃からココで育ったから、お気に入りの場所は数知れず。
ユウはGPSナビみたいにチェック箇所を覚えるのか。

「そーだなー、この帰り道でも何かあったら言うから」

はたから見れば妙な光景なのか、GPSナビにも喋るからなー。

「はぁーい♪」

返事のバージョンアップ・・・か。
信号の少ないバイパスを途中で降り、街中に入る。
道幅がグンと狭くなるが、城下町だからしょうがない。

ボボボボォー、キィッ!

「ココは?」

信号も無い街中で停車する。

「ココが有名なCOZYさん宅です」

城下町で長屋のように家が立ち並ぶ一角にCOZYさんの家が有る。

「?こおじいさん?おじいさん・・・と」

「あああ、違う違う」
「お爺さんじゃなくて、C・O・Z・Yさん!」

歳はとってるけど、お爺さんまでは・・・。

「オイラの尊敬する大先輩の家、はいメモってメモってー」

友達だけでもAKAONI宅やMICHAEL宅、これは大変な作業になるな。
旧国道に出る、道が広く感じる。
07を創るきっかけになった所でも寄るか。

そう、ある車を買ったのがきっかけである。
そしてオイラ担当の営業さんに話したのがミラクルの始まり。

ボボボォーーー。

「ここがいつもお世話になっているMa社のディーラーだよ」

車を買って以来、用事が無くてもコーヒーを貰って飲んでいた。
そんなオイラにも快くして色々な話してくれる営業さん、
変わった注文でも引き受けてくれるサービスマン。

「ここが、えーっと・・・メモメモ」

昼間ならこんな所止められないよなー。
信号が多いせいか、渋滞の嵐。脇に車を止めようものならホーンの嵐。
都会より田舎ってマナーが・・・。

街中を出て、裏道を走る。回りは田んぼばかりである。
西側に山々があり、その裾野を走る感じである。いわゆる広域農道だ。

「わー、虫の鳴き声とか聞こえるねー」

そー言えば、ユウはドコで聴くのか?
考えてみれば映像だからシートベルトもしないで良いし。
オイラだけしか見えないのも。

「このコース、今走ってきた道がお気に入りだよ」

夜、家から農道を走りCOZYさん宅を訪れ早朝にバイパスを走る。
何回走った事か。今では懐かしい感じもする。

ボボボボボボォーッ!

「ココがオイラの家、シャッター開くよ」

住宅街と商店街の間にある、ガレージ付きの家。と言うか家付きガレージ。
300坪の大半がガレージと言う、一風変わった家である。
田舎のおかげで土地区画は広い。

カラカラカラ・・・。

おおお、メモってるな。

「おっきーねー、レオの家!」

この日の為に買った家でもある。

「ユウを迎える為の家さぁ」


ep05 発進

R-EO 07

レオのブランド名 R-EO
名前及び誕生日  07
この車がメイン稼動の3台目になる。

車のシートに座る。各メーター等の照明が輝く。
キーを持って車に近づくとドアロックOFF。アクセサリーがONになる。

「レオ様、私に名前をつけてくださいませんか?」
「スタートボタンを押す前に」

名前、さっき自分で言ってたが違うのか?

「えー、この車が君なんだよねー」

07が彼女、って事はこの車の映像版?AR拡張とかの類、にしては凝ってるなー。

「はいっ!」

元気がいい。

「私が車の状態などナビをいたします」
「私を呼ばれるときに呼びやすい名前があればと・・・」

うーむ、どーゆー感じか分からんから動いてからだな。
因みに3台の末娘だから・・・。

「ユウ」

簡単だったかなー、もっと凝った名前が・・・。
ってK氏が言ってたのは、こうゆう意味だったのか。今頃気づくとは。
だからオイラ好みな彼女なのか。

バレている・・・。

「ありがとうございます、ユウ ユウ」

コンソールパネルのランプが1つ点灯し1つ点滅し始めた。

「はい、OKです♪」

お、OK?ま、まーいいか。

一体どの位喋れるのか・・・な
どうゆう仕組みでどうしたら良いものか。
イグニッションを捻り、スタートボタンを押す。

キュル、ルッ。ボッボォーーー。

「燃料はハイオク、残量65.5L、バッテリー・・・」

ナ、ナヌッ!す、凄いんですけど。

「あああ、あのさー不具合箇所が有ったらでいいから」

全ての状況を喋るのか?

「只今警告等は有りません」

おおお、良かった。が何か口調が。

「そっそうだ天気、今夜の天気は?」

「今夜は晴れ、降水確立は10%明日も晴れ・・・」

よく喋るなー、関心カンシン。って口調を直さないと。

「今夜は晴れだよぉー、とか言ってくれると嬉しいんだけど」

言えるのか・・・な。

「はい?」

「お気楽な感じで良いからさぁ」
「はい、なら」
「うん、とか」
 
 
 
「うん!」

おおお、出来るではないか。ナビって事は道路事情にも詳しいな。

「ユウ、バイパス降りたら街中でも流して帰るかー」

明日も色々あるからなぁ。

「うん、いっぱい走ろぉレオ様♪」

しっしまったー、オイラの名前の呼び方を変えないと。

「えー、オイラの名前はレオって呼び捨てで良いよ」
「様が付くと外国人俳優みたいで、背中がむず痒くなるから」

前にも何処かで呼ばれたような。

「良いの?レオ様?」

「良いよー、みんなそー呼んでるからユウも」

何故か気楽な感じだなー。
彼女との付き合いは今日からだけど、この車とは長い付き合いだから。

「うん、レオ」

彼女と言うより仲間。

ep04 彼女

「レオ様 初めまして」
 

「は?」

声が聞こえた。
こんな夜中のバイパス、女性など歩いてるはずも無く。
まさかテントでも張って野宿とか。
レオ様って言ったよなー。さっきの会話、聞いてたのか?

「お腹が空いたから、夕飯おごってくださいよぅ」

とか言わないよなー。ぶつぶつぶつ。

「レオ様?」

「ぶつぶつぶつ、それはそれで・・・」

何故か一人でむふふな世界に。

「レオ様、レオ様?」

顔を上げ、振り返ろうと・・・

はっ!

歳で言えば18、9であろうか。
んーサングラスでヨク見えない。
手をかけたその時。

「レオ様ぁーーーっ!」

あまりの大声にオイラはビビッて凍りつく。

「はっ、はいぃーーー」

条件反射か、ぎこちなくグラスを直し直立不動。

「レオ様、初めましてR-EO 07です」
「私はグラスでのみ存在します。」

ほ、ほぉ。骨伝導なのか?さっきの大声で骨、イってないだろうなぁ。

女性は深々と上体を倒した。
悲しいかな、こーゆー時も反射的に同じ動作をしてしまう自分がいる。

「はっ初めましてぇー、七月レオですぅ」

上体を上げ女性をガン見する。

じぃーーー。

顔色は白系ってか、日本人か。
背中まで伸びる黒髪。フレンチシャツで短めのビニスカ。高すぎない赤いヒール。
なぜ、何故なんだぁーーー。まるで好みではないか・・・。

声が出ん。

「レオ様?」

すーーーはーーー。
すーーー、はーーー。

お、落ち着けー自分。
R-EO 07って言ったよなー。確か。

「くっくっく、なーにを隠そうワータクシがー世界で1台の自分仕様マシーンの開発総責任者のななつ・・・」

って言ってる途中で消えたぞ。

女性が車の中から手招きをしている。
ナヌ!いつのまに車の中。うーむ、手ごわい。

残念ながら乗り込む姿を拝めなかった・・・。

「おおお、そーだな」

って、なんかイメージ違うな。記念すべき初乗りなのに・・・。

ドアに手を触れ、バムッ!

ドアが開いた瞬間。

彼女が俯き、つぶやく。
 
 
「・・・ありがとうございます」
 
 
その言葉はまるで・・・
 
 
「オイラこそ、ありがとう」
 
 
7月7日 彼女の誕生日

忘れる事の出来ない大切な日。

ep03 思考

スポーツカーと言えば赤いボディーカラー。

フロントエンジン、リアドライブ。ロングノーズで2人乗り。
ルーフは外せるほうが好い。
晴れた海岸線でお気に入りをかける。音楽とサングラス。

自分だけの車に乗って。

公道を走れる車2台、テストで1台。
計3台体勢で開発をする。
公道を走っているのは1/3台である。
そう、三つ子。

テストカーは、公道データや改良を加えながらのテストコース三昧。
2台目はテストカーのデータなどをフィードバックし、交代を待つ。
3台目はメインで、2台目との交代をしながら進化する。

K氏は週1でテストコースを走り回っている。職人と言える仕事を。
開発ドライバーを頼んだのもレオである。
始めは1人で各社や各人に協力を求めた開発総責任者。

因みにテストカーに、あのシステムはまだ搭載されていない。
今後レオとの公道データ取り次第となるであろう。
開発総責任者へのプレゼントは、レオ自ら選んだSo社が開発したサプライズなシステム。
 
 
「電装関係でSo社に頼んで大正解、眼鏡掛けると何も無い空間に人が出てくるんだから」
「ナオに見せたかったぜ、レオの彼女を」

K氏はレオの構想を、驚きながらも嬉しそうにナオに話しかける。
深夜の長距離運転のせいか、左手が小刻みに左太腿を叩く。

「はいはい、見たくも聞きたくもありませーん」
「なんでアタシかなぁー」

クチを尖らせ俯きながら目を擦る。
信号は眠っているが、ナオは眠る訳にはいかない。
一休みしたら満載で蜻蛉帰りの予定である。

「眠くなったら言えよ、代わるからさ」
「夕方まで寝てたんじゃないのか?」

又俯きながらクチを動かす。

・・・「工場から遠いんだよ、服だって・・・」

ムクッっと顔を上げ、驚いたように大声で

「ま、まさかっ」
「彼女裸とかって、なんないよねーっ!ねーっ!」

何を想像したのか、なんとなく分かるが。

「はーっはっはっは、ナオが裸んなる訳じゃないから良いだろー?」
「声も変えてるんだからって、なったの・・・か・・・ナオ」

後でレオから聞こうとK氏は心に決めた・・・。

彼女のデザインはSE社が心良く協力してれた。
あるサイトがグループ会社で、レオはそこの住人である。
似たようなサイトは色々有るが、このサイトには何か有るのであろう。
何年も住んでいるのだから。

最初の段階ではSo社のGPSナビにオリジナルソフトを提供してもらう予定であった。
ところがSo社内で面白いシステムが開発され、急遽変更されたのである。
まさにミラクルであり、サプライズ。まだ誰も体験していない空間。
これにSE社が触発され、彼女のデザインが一新。良い相乗効果であろう。

ここでナオや他のモデルが起用される。
モーションキャプチャや音声、言葉使いなどサンプリングされ
よりリアルに。

「もー彼女、名前つけて貰ったかなー」

レオにとっては彼女であり、子供である。

色々な会社、色々な人と世界で1台を創る為に。

ep02 回想


「はぁーっはっはっは 腰抜かすぜぇ、レオの野郎」

とっておきのサプライズ。
擬人化と言えば、そうかもしれない。
So社が極秘で開発し搭載したので、
レオは知らずコノ日を迎える。

「なー、ナオよー」

とても大型トレーラーを
運転するとは思えない容姿のナオ。

「ぶつぶつぶつ・・・知らないっ!」

くちを尖らせて そっぽを向く。

「レオ希望のゲームソフトで有名なSE社だもんなー」

・・・
・・・
そぉ オイラの車は 夢の車。
・・・
・・・

「おもしろいよなー、レオは」

オイラが尊敬と言って良いものか分からないけれど
凄い人COZYさん。
地元ではアノKP使いと恐れられ...(中略)...んー、凄い!
なぜか昔の事をヨク覚えている。
オイラとの出会いから今日までのあらゆる事を。

「車見てアノ顔は目の下にクマが出来てるとか、冬になるとクチにヨダレの氷が出来るとか」

車の顔って面白いから。映画CARSでちょっと見方が変わったかも。

「車もそうですけどオイラは、まず見た目ですよ」

カッコイイ車。人それぞれカッコイイは違うだろうけど・・・。

「やっぱり自分だけの車、欲しいですね」

量産車を改造するのではなく、オリジナルマシーン。

「今で言うECO CARじゃなくてEGO CARです」

やはり車のボディはゲームソフトを創ってるN社だなぁ。
ゲームに出てくる車が個性的なの多いから、一緒に創れたらどんなに嬉しいか。

COZYさんは喋りだす止まらないが、聞くほうは何故か苦痛ではないのである。
気になるとすれば、帰る時間か。ほぼ明け方になっている。
因みに馴染みの峠に行っても話続けて明け方に。

それもまた青春・・・。

「レオ、市販車って良く出来てるって」
「そのメーカーが考えぬいて やっと市販されるんだから。ノーマルが一番!」

って、COZYさんのは車ノーマルじゃなくてバリバリの・・・。

「あはは、たとえばですよぉーたとえばー」

ミラクルなmade in japan。

「たとえば?」

この際、想いを全て。

「エンジンはMa社で車体はH社でボディーデザインはNa社でタイヤはY社で、えー」

も、もーちょっと煮詰めないとなー。
シートはB社かな、排気系はT社で4点式ベルトは。多すぎる。
家で又考えよう。

「レオの好きな会社ばかりだなー」

やはり好きな車でないと命を乗せられない。

「好きな物には、こだわるからレオは」

・・・そ、そーかも。

「俺の好きなバンドの曲聞かせたら、いつのまにかロバートジョンソンまで行くとは・・・」



嫌いに理由は有るが、好きに理由は無い。






ep01 対面

刻07/07

ピィーッ ピィーッ バックします♪
ピィーッ ピィーッ バックします♪

んー、ガッツ石松。

「さすがに響くなー」

深夜の国道脇の駐車場、通る車も少ない。やはり人目の少ない刻と場所。

「んーーー、いいね」

ガポッ、バターン。

「おーい レオぉぉぉ 連れてきたぜぇ・・・彼女ぉ」

いつもより張りのある声。助手席のドアから降りてきたK氏。
オイラにとっては、あまりに恐れ多い方である。
テストドライブに協力してくれるなんて、まさに・・・。

「彼女って・・・」

車が擬人化されるのは当然か。

「まーまー、これもレオに渡さないとな」

片手に鞄ともう片手には・・・。
鞄はカーボン製のケースか。欲しかったんだよねー、こーゆーケース。渋い。

「で、あとはキーとコレね」

キーはともかくコレって、まさか眼鏡ケース。・・・えー、めが・・・ね?
サ、サングラスゥー。
おおお、新しいアイテムが。なかなかのデザイン。
今度かけよーっと。

「あ、ありがとうございますー」

にやけた顔でオイラを見るなり

「この彼女はまさに○○だから、エンジン掛けないでレオ自ら降ろしてねっ」

ねっ!
って、この状態から想像するに・・・押して降ろすとか・・・

ギィーーー、シュゥーーー、ヒューーー、カタッ。

このトランスポーターから、降ろせってかぁーーーっ!

「そーそー、キー持ってグラサン掛けてなぁー」

夜中にグラサンって。

カタッ!

何所に手をかけようかなー。
まさか夢の車を人力で押すとは、夢なのか。

「ふんグゥーーー!うぉーーー!」

燃料切れで、よく車を押したことが有る。バッテリー切れで押し掛けとか。
この車は1トン無いから、らーくらく・・・とは言えん!

ガッ、シャッ!

ふぅー、やっと降りたか。何か光ってるが。

「あとは、よろぴくー・・・くー・・・ぅぅぅ・・・」

スタスタスタ・・・
ガポッ、バターン。ガラガラガラ、ゴロゴロゴロぉぉぉ・・・

「へっ?」

・・・ぽっつぅーーーん。

あれ、素っ気無い・・・な。ま、明日も色々アルからなー。
このケースには、これからの予定やら取説やらが。

・・・あれ、ケースに紙が貼ってある。
さっき貼ってあったかなー?

えー

"最初に見た人が御主人様。レオ、見たな"

・・・とあるが、はて?
しかし、初めて見るわけではないが
月夜に輝くマイマシーン!かっちょエー!

「えーとキー、キーっと」

ごそごそ。

「レオ様 初めまして」
 
 

「は?」
 
 
 


ホワイト・アルバム2